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大手メーカーの内側に密着したテレビ番組が話題になり、その中で管理職のスケジュール表が映る場面がありました。毎日のように夜まで予定が埋まっている画面です。あれを見て「うちの課長もあれだった」と思い出した人は多いはずで、私もその一人でした。打ち合わせをしたいのに、上司の空いている時間が定時後しか残っていない。この記事では、その予定表の話を軸に、現場から見た「一緒に考えよう」の意味と、休日出勤をどう受け止めるかを書きます。
この記事でわかること
- 管理職の予定表が会議で埋まりきる構造と、それが現場に何をもたらすか
- 上層部の「一緒に考えよう」が現場では丸投げに聞こえる理由
- 休日出勤を責任感で埋める働き方を、続けるかどうかの判断軸
課長の予定表が、定時後しか空いていなかった
番組で映っていたのは、管理職と思われる社員のスケジュール表でした。毎日のように朝から夜の九時、十時あたりまでブロックが並んでいて、色分けされた予定がびっしり入っている。あれを見た瞬間に思い出したのは、自分が働いていたときの課長の画面です。
相談したい案件があって、課長と打ち合わせの時間を取りたい。それで予定表を開くと、日中はどこも埋まっている。空いているのは定時後だけ。そういうことが何度もありました。急ぎの話ほど日中に決めたいのに、決められる人の時間が日中に存在しない。結果、打ち合わせは夕方以降に押し出されて、当然こちらの帰る時間も後ろにずれていきます。
役職が上がるほど、時間が他人のものになる
役職が上になればなるほど会議で予定が埋まっていくのは、どこの会社でも起きていることだと思います。判断できる人のところに議題が集まるので、当たり前といえば当たり前です。ただそれは、本人が考える時間が最初に削られるという意味でもあります。開発でも生産でも、まとまった思考時間がないと出てこない答えはあるのに、そこに時間が割り当てられない。
あの予定、全部が本人の意思ではない
ひとつ補足しておきたいのは、あの予定表は全部が本人の入れた予定ではないだろうということです。色が分かれていたのは、自分で入れた予定と他人から入れられた予定を区別しているからだと思います。他人が入れてくる会議には「この人は関わりそうだから一応入れておくか」というものが混ざります。出席者一覧に名前があるだけで、実際には出なくていい会議が相当あるはずです。
それでも夜まで働いていることは変わりません。管理職の枠に押し込まれた時間の中で、本来やるべき判断を後ろに回している。若手がそれを見て昇進したいと思うかというと、私はかなり難しいと思います。
「一緒に考えよう」が丸投げに聞こえる理由
番組で議論になっていたもうひとつの場面が、開発期間の短縮を提案した上層部に現場が「無理です」と返し、それに対して「どうやったらできるか一緒に考えよう」と言い返すやりとりでした。現場ファーストの会社だと賞賛する声もあったようですが、同じような働き方をしている人は全員、別のことを思ったはずです。丸投げが来た、と。
偉い人が本当に一緒に考えている場面を見たことがない
正直に言えば、上の立場の人が「一緒に考えよう」と言って、その後で本当に一緒に考えているのを見た記憶がありません。多くの場合は、考える主体が現場に移るだけです。上は方向を出して、期限を切って、あとは「考えておいて」で終わる。言葉の形は共同作業でも、実務の重心は完全に片側に寄っています。
拒否できる現場は健全だが、そこに至る前が気になる
番組では、出された図面を製造側が拒否する場面もあったそうです。現場が強い証拠として好意的に受け取られていましたが、私が気になったのは別のところでした。普通なら、図面が出てくるまでに現場の意見を聞いて調整するはずだ、という点です。もっとも、会議で出てきた案に「これは無理だろう」となることは実際そこそこあるので、割とリアルな光景なのかもしれません。
ここで触れている場面はいずれもテレビ番組で紹介された内容についての受け取り方です。企業内部で実際にどのような調整が行われていたかは、外から確認できる範囲を超えています。
休日出勤を「責任感」で埋めるとどうなるか
番組には、平日は会議と調整に追われて考える時間が取れないから、休日に出勤して考えるという社員の場面もありました。これを美談にするなという声が多く出たと聞きます。私も、賞賛するようなことではないと思っています。休日出勤がいいと言いたいわけでもありません。
ただ、あの立場だったら休日に出るだろう、とも思うのです。責任のある立場に立つと、自分の部署と自分が抱えた案件を守るために踏ん張ってしまう人が多い。むしろそういう人でないと管理職になれない、という側面もあります。だから「賞賛すべきでない」という指摘は正しいけれど、「ありえない」という反応にはならないというのが、私の実感です。
問題は個人の責任感ではなく、時間の割り当て
考える時間が平日に一分も残っていないから休日に持ち出す。この構図は、本人の頑張りで補修されている限り、組織の側からは問題として見えません。数字上は会議が回っていて、案件も進んでいる。壊れるのは個人だけです。仕事ができる人ほど会議に呼ばれ、判断を求められ、時間が消えていく流れについては、仕事ができる人に業務が集中する会社の末路にも書きました。
自分の予定表を見て判断する
自分が今どの位置にいるかを測るのに、予定表はわりと正直な材料です。日中に自分で考える時間が一枠も残っていないなら、それは働き方の問題というより、時間の配分そのものが破綻しています。私も、課長の予定表を見ながら「これは自分が昇進したい形なのか」と考えたことがありました。答えは出さないまま、その会社を離れることになりました。
私は社内規定に沿って退職を申し出ましたが、それでも会社と揉めました。会議で予定が埋まった上司に切り出すタイミングを作ることすら難しく、話が長引くほど自分の消耗も増えていきます。自分から言い出す段取りが組めない状況なら、退職代行という選択肢もあります。費用がかかり、円満退職の形にはなりにくく、会社との関係も基本的に切れる手段なので、そこは理解した上で検討してください。
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予定表が埋まっている職場は、外から見ると忙しくて活発な会社に見えます。実際に困るのは、決めてほしい人に相談できない側です。日中に判断が下りないので案件が止まり、止まった分だけ夜に寄っていく。この連鎖は個人の努力ではほぼ止められません。
止めようとして止まらなかったこと
私がやったのは、定時後になる打ち合わせを前倒しできないか調整することでした。ただ、上司の日中の枠が空かない以上、こちらが工夫してもどうにもならない。結局は「空いている時間に入れる」しかなく、その空いている時間が定時後だった、という話に戻ります。個人の段取りで解決できる範囲を超えていました。
判断材料として見ておきたい三つ
- 上司の予定表: 日中に空き枠があるか。ないなら、あなたの案件は構造的に定時後へ押し出されます。
- 会議の中身: 出席者に名前が入っているだけの会議がどれだけあるか。削れる会議が誰にも削られていないなら、時間の管理が放置されています。
- 休日の使われ方: 考える作業が休日に持ち出されているか。持ち出しが常態なら、平日の設計が破綻しています。
管理職側の振る舞いそのものが職場を壊していくケースについては、終わってる管理職の特徴|職場が壊れる理由のほうが近い話かもしれません。今回のように、管理職本人も潰れかけているパターンとは分けて考えたほうがいいと思っています。
次に何を考えるか
この手の番組を見て「うちも同じだ」と思ったなら、たぶん実際に同じです。そこで考えるべきは、その働き方の中で自分が昇進した先を引き受けられるかどうかです。上が夜十時まで会議で埋まっていて、休日に考える時間を確保している。その席に自分が座る前提で、今の会社にいるのか。
引き受けられると思えるなら、それは立派な判断です。無理だと思うなら、無理だと思った時点から動き出すほうが選択肢は多く残ります。ただ、辞めると決めても、上司に伝える時間が取れない、切り出したら長引く、というところで止まる人は少なくありません。私自身、規定通りに申し出ても揉めました。
自分の口から言い出すこと自体が現実的でない状況まで来ているなら、退職代行を使って手続きを外に出す方法もあります。万能な手段ではなく、費用も発生し、辞めた後にその会社と接点を残すことは難しくなります。それでも、伝えられないまま消耗し続けるより先に進める場合はあります。
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