仕事ができる人に業務が集中する会社の末路

仕事ができる人に業務が集中する会社の末路 ブラック企業の実態

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「仕事は定時でスパッと終わらせるもの」——そう言い切れる職場は、実際にはそう多くありません。業務分担が甘い会社では、仕事ができる人のところにどんどん仕事が寄っていきます。しかも報酬の差は小さい。この記事では、なぜ有能な人に業務が集中するのか、その状態が続くと会社の側に何が起きるのか、そして当人が動くとしたら何から考えればいいのかを整理します。

この記事でわかること

  • 「この人に頼んだ方が早い」が業務偏在を生む仕組み
  • 頑張っても報酬差が小さいと、優秀な人から抜けていく理由
  • 引き止めで「無責任だ」と言われたときの考え方

「この人に頼んだ方が早い」から仕事は偏っていく

分担ではなく、処理速度で仕事が流れる

業務が完全に分担されている会社なら、誰がどこまでやるかは最初から決まっています。ところが現実には、そこまできれいに切り分けられている職場のほうが少ない。すると何が起きるかというと、仕事は組織図ではなく「誰に頼めば早く片づくか」で流れ始めます。この人に聞いたほうが早い、この人に渡したほうが楽。そう思われた瞬間から、その人のところに案件が集まります。

厄介なのは、頼む側に悪意がないことです。むしろ善意と効率のつもりで頼んでいる。だから止まりません。頼まれた側も、断る理由がとくにないので受けてしまう。この積み重ねが数か月続けば、同じ部署でも仕事量に倍以上の差がつきます。

まともな職場は「頼みすぎ」を止めにいく

ちゃんとした職場であれば、一人に寄りすぎている状態は不健全だと判断して、分担させる方向に動きます。管理職の仕事とはそもそもそういうものです。逆に、やる気のない人が多い職場では誰もそれをやらない。むしろ「あの人がやってくれるから」で放置されます。

さらに、大きい案件ほど「あいつなら任せられる」で有能な人に渡されます。処理量の偏りに加えて、責任の重い仕事まで乗る。残業時間が普通の人より増えていくのは、能力の問題ではなく配分の問題です。この構図は、管理する側が壊れている職場ほどはっきり出ます(参考:終わってる管理職の特徴|職場が壊れる理由)。

頑張った分の差が小さいと、人は静かに冷める

仕事量は倍、給料は少し

業務が集中すること自体は、報酬がそれに見合っていればまだ納得できます。問題は、日本の多くの会社で、仕事ができる人とそうでない人の給与差が小さいことです。責任を持って動く人ほど時間を差し出しているのに、明細を並べると差はわずか。この構図に気づいた瞬間、「ここで頑張っても仕方ない」という感覚が生まれます。

怒りというより、冷めるという感覚に近い。だから外からは見えにくく、上司も直前まで気づきません。

評価で差がつく会社もある

私が勤めていた食品メーカーは、年収に占めるボーナスの割合が高く、そのボーナスに評価がしっかり反映される制度でした。だから頑張ったときのインセンティブは大きかったと思っています。制度としてそこが機能しているかどうかで、同じ「業務が集中する状態」でも受け止め方はかなり変わります。

逆に言えば、評価が報酬に結びつかない仕組みのまま業務だけ寄せられている職場は、構造として無理があります。「評価された」という言葉だけを渡され続けても、生活は変わらないからです。

評価制度の設計は会社ごとに大きく違います。自社の評価が実際にどれくらい賞与や昇給に反映されているかは、就業規則や賃金規程、過去の支給実績で確認できる範囲を見ておくと判断材料になります。

有能な人が抜けたあとに会社で起きること

引き継げる人がいない

業務を一人に寄せてきた会社は、その人が抜けた瞬間に困ります。担える人がいないので業務が滞る。ここでようやく「あの人はこれだけやっていたのか」と分かるのですが、分かったところで人は戻ってきません。

しかも、その穴を埋める方法として選ばれるのがたいてい「次に仕事ができる人に集める」なんですよね。つまり、同じ状況の人をもう一人作る。そしてその人もいずれ同じ結論に至ります。人が抜け続ける職場には、この再生産のループが埋め込まれていることが多いです(参考:従業員が逃げる会社の特徴と辞め時の見極め方)。

「教育できていない」で評価が下がる矛盾

もうひとつよくあるのが、仕事を抱えている人が「後輩を育てられていない」と評価される構図です。自分の案件を回すだけで手一杯の状態にしておきながら、育成の結果まで個人の責任にされる。育てる時間をどう確保するかは本来マネジメント側の設計の話なのに、そこは問われない。

この矛盾に何度か直面すると、多くの人は「制度の問題ではなく、この会社の問題だ」と結論を出します。

辞めると言ったときに出てくる「無責任だ」という言葉

抱えている案件が大きいほど揉める

業務が集中している人ほど、辞めると伝えたときの摩擦が大きくなります。大きなプロジェクトを持っていれば「今抜けられたらどうするんだ」と言われる。ここで「無責任だ」という言葉が出てきますが、一人に寄せてきたのは会社側の判断です。個人の責任感に依存した体制を作った結果を、去る人に負わせるのは筋が違います。

とはいえ、その場で理屈を通せるかというと別問題です。感情的な引き止めをされると、こちらが悪いことをしている気分にさせられます。まずは就業規則の申し出時期を確認し、引き継ぎ資料をどこまで残すかを自分で線引きしておく。ここを決めておくだけで、話し合いの消耗はかなり減ります。

自分から切り出せないときの選択肢

問題は、その線引き以前に「言い出せない」状態で止まってしまう人が多いことです。抱えている案件が大きいほど、切り出すタイミングが永遠に来ない。落ち着いてから、区切りがついてから、と考えているうちに次の案件が始まります。

どうしても自分の口から言えない状況なら、退職代行という手段があります。費用はかかりますし、円満退職にはなりにくく、会社との関係は基本的にそこで切れます。それでも、伝えることができないまま消耗し続けるよりは、線を引ける方法として知っておく価値はあります。

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いま自分がどの位置にいるかを確かめる

確認しておきたい3つのこと

  1. 仕事の偏り具合: 同じ職位の人と比べて、抱えている案件数と残業時間にどれくらい差があるか。
  2. 報酬への反映: その差が、賞与や昇給として実際にいくら分になっているか。評価が上がった年と下がった年の差額を見る。
  3. 会社の反応: 偏りを上司に伝えたとき、分担を見直す動きが出るか、「頼むわ」で終わるか。

3つめが一番重要です。偏っていること自体は、どの会社でも一時的には起こります。分かれ目は、それを会社が是正しようとするかどうか。伝えても何も変わらないなら、来年も再来年も同じ状態が続くと考えたほうが現実に近いです。

すぐ辞めなくても、動ける状態は作れる

ここまで書いてきましたが、業務が集中している人が全員すぐ辞めるべきだとは思いません。評価が報酬に返ってくる会社もありますし、大きな案件を任される経験そのものが後で効くこともあります。判断すべきは、その負荷が期限つきなのか、それとも構造として固定されているのかです。

ただ、「頑張っても差がつかない」「抜けたら回らないと分かっているのに手を打たれない」の両方が揃っているなら、それは個人の努力で変えられる範囲を超えています。そのとき、自分から退職を切り出すことがどうしても難しいなら、退職代行という選択肢もあります。万能ではありませんし、使えばその会社との縁は基本的に切れますが、止まってしまった状況を動かす手段のひとつではあります。

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仕事ができるという理由で損をし続ける構図は、放っておいて改善されるものではありません。まずは自分の負荷と報酬を数字で並べてみるところから始めてみてください。