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「24時間働けますか」と聞かれて「はい」と答えたら採用。課長が帰るまで席を立てない。歓迎会は早朝まで。休日は業務命令で出勤。そんな昭和〜平成初期の働き方を戯画化した動画を見ていて、笑いながらも背中が冷えました。全部が過去の話ではないからです。この記事では、その時代の働き方がどこまで過去になり、どこが今も職場に残っているのかを整理します。
この記事でわかること
- 「24時間働けますか」の時代に何が当たり前とされていたのか
- 平成後期に入社した世代から見た、当時まだ残っていた職場の空気
- 上の世代の価値観の差が、今の職場にどう出てくるのか
- その環境に当たってしまったときに考えられる選択肢
「24時間働けますか」で採用された時代に何があったか
仕事が終わっても帰れないという不思議なルール
動画で描かれていたのは、言われた仕事を終えて帰ろうとした新入社員が「課長より先に帰るわけないやろ」と止められる場面です。やることがないのに、その辺の資料を読み込んで課長が席を立つのを待つ。仕事量ではなく在席時間で忠誠心を測る文化が、かつては当たり前とされていました。
笑い話に見えて、この構造はけっこう根深いと思っています。成果ではなく「先に帰らないこと」が評価軸になっている職場では、生産性を上げた人ほど損をします。早く終わらせても帰れないなら、誰も早く終わらせようとしなくなる。今でも似た空気が残っている職場は珍しくありません。
飲み会・休日出勤・私生活の後回し
歓迎会で早朝まで飲まされ、1時間半しか寝ないまま出社する。新人は30分前に来て上司の机を掃除する。日曜に予定があると伝えても「業務命令や」で押し切られる。動画ではこれらが立て続けに起こります。
そして、家族より仕事を優先できるようになった新人を、上司が「ようやくその階段を登ってきた」と褒める。ここが一番怖い場面でした。私生活を削ることが成長の証明にされてしまうと、削っている本人が誇りを感じ始めます。抜け出しにくくなるのは、苦しいからではなく、その苦しさに意味を感じてしまうからです。
平成後期に入社しても、その空気は完全には消えていなかった
怒鳴られている動画は「昔はどこでもあった」で済むのか
最近、結果を出せずに怒鳴られている社員の動画がSNSで回ってくることがあります。ベンチャーを中心に「働き方改革の逆を行こう」という空気も一部にはあるようです。ただ、あの手のやりとりは昭和や平成初期ならどこの企業でもやっていたことで、実際はもっとひどかったはずです。今わざわざ切り取られて拡散されるということは、それが例外になったという裏返しでもあります。
ただ、私が入社した平成後期でも、パワハラ気質の人は結構いました。全社的に「そういう時代じゃない」とアナウンスされていても、個人の振る舞いはそう簡単には変わりません。制度が変わったことと、目の前の上司が変わったことは別の話でした。
バブル入社組と就職氷河期世代の落差
動画の前半では、就活生が奪い合われ、内定を出すために旅行や車まで用意する会社があったと語られます。1991年にバブルが崩壊したあと、その環境は一変しました。入社すること自体が難しくなり、それでも入った先で、恵まれた時代に入社した先輩から厳しく当たられた人も少なくなかったはずです。
ここで書いているのは、動画で語られていた内容と一般に知られている時代背景の範囲です。世代ごとの傾向を断定するものではなく、個人差のほうが大きい点はご承知おきください。
上の世代の価値観の差は、今の職場にそのまま出てくる
「されたことを下にやる人」と「今に合わせる人」
動画の投稿者が体感として語っていたのは、50代の氷河期世代には自分がされたことを下の世代にもやってしまう人が多く、40代の氷河期世代は今の時代に合わせて部下を指導している人が多い、という印象でした。もちろん本人も「周りがたまたまそうだっただけで、時代への適合が完璧な50代もたくさんいる」と付け加えています。
私がこの話に納得したのは、職場のしんどさが会社の制度ではなく、直属の上司ひとりで決まってしまう場面をよく見るからです。同じ会社、同じ規定でも、課が違えば働き方はまったく別物になります。会社のブランドや制度の充実度を見て入社しても、配属先の管理職次第で日々の景色は変わってしまう。ここは求人票からは読み取れません。
管理職側の問題については、終わってる管理職の特徴|職場が壊れる理由でも整理しています。
後半に出てくる「残業をつけるな」の重さ
動画の中で、私が一番現実味を感じたのは、上司が「部署単位で残業時間を見られていて、多いと自分の評価が下がるから残業をつけるな。タイムカードを切ってから仕事しろ」と言う場面です。前半の飲み会や机掃除より、こちらのほうがはるかに今の職場に近い話に見えました。
労働時間の上限に規制がかかると、現場の仕事量がそのままなら、どこかにしわ寄せが行きます。数字だけを守ろうとして記録を先に締める運用が生まれると、働いた時間そのものが記録から消えてしまう。関連する論点は残業45時間の指導見直しで現場はどうなるかにも書きました。
もし今、記録に残らない時間が積み上がっていて、その状態を上司に相談しても変わらないなら、辞めるという選択肢を早めに視野に入れておいたほうがいい場面もあります。自分から言い出すのが難しい状況であれば、退職代行という手段があります。
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過去の働き方を笑えるうちに、自分の現在地を確かめておく
休日の呼び出しは、今も業種によって残っている
動画では、家族と食事中に設備トラブルの電話が入り、断れずに会社へ向かう場面が描かれます。これを「昔話」と言い切れるかというと、設備を持つ現場では今もある話です。生産技術のように設備の面倒を見る立場だと、ラインが止まった時点で誰かが行かなければならない構造そのものは変わっていません。
だから重要なのは、呼び出しがあるかどうかより、その負担が個人の善意で埋められているのか、当番制と手当で仕組みとして支えられているのか、という違いだと思います。個人の責任感だけで回っている運用は、その人が倒れた瞬間に止まります。工場勤務の実態については工場の生産技術がきつい理由|1日の実態にまとめています。
「昔はもっとひどかった」は説得の材料にならない
動画の投稿者は最後に、自分たちゆとり世代後期やZ世代はめちゃくちゃ恵まれた時代にいる、とまとめていました。その通りだと思う一方で、この話には使い方に注意が要ります。
「昔はもっとひどかった」という言葉は、歴史として聞くぶんには意味があります。でも、今しんどい人に向けて言われた瞬間、我慢を強いる道具に変わります。灰皿が飛んでこないから今の環境が健全だ、とは言えません。
比較の対象は昭和ではなく、今の労働環境の平均です。休日に予定を入れられない、記録に残らない残業がある、上司が帰るまで帰れない。このあたりが常態化しているなら、時代のせいではなくその職場の問題として見たほうがいいと考えています。
次に考えるべきこと
まず、今の職場のどこが「時代遅れ」なのかを言葉にする
漠然と「うちはブラックかもしれない」と思っているだけだと、動きようがありません。動画に出てきた要素を借りて、自分の職場に当てはまるものを具体的に書き出してみるのがおすすめです。
- 時間の記録: 実際に働いた時間と、記録上の時間にズレがないか
- 私生活の扱い: 休日や退勤後の予定が、業務命令で簡単に潰されていないか
- 上司の言動: 指導が業務の話に留まっているか、人格に及んでいないか
- 負担の仕組み: 呼び出しや緊急対応が、当番制など仕組みで支えられているか
ここで複数当てはまるなら、それは我慢して慣れる対象ではなく、環境を変える理由になり得ます。逆に、当てはまるのが一つだけで改善の余地があるなら、まずは記録を残して相談する順番でいいはずです。
言い出せないまま消耗しているなら
厄介なのは、辞めたほうがいいと自分で分かっていても、上司に切り出す場面を想像しただけで動けなくなるケースです。動画の中の上司のように「やる気ないんやったら辞めろ」と言いながら、いざ辞めると言えば引き止めにかかる。そういう相手だと分かっているほど、口を開くハードルは上がります。
自分で伝えられる状況なら、その方が費用もかからず後の関係も残ります。それがもう無理だと感じるところまで来ているなら、退職代行という選択肢を検討する段階だと思います。
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